ゴトウ

アメリカン・サイコのゴトウのレビュー・感想・評価

アメリカン・サイコ(2000年製作の映画)
3.0
『マシニスト』から正気の沙汰でないクリスチャンベイル二連発。仕掛けまで同じかい。まだ観てなかったらこのレビューは読まない方が良いと思います。

何件も殺しを重ねてきたにしては手口が荒すぎるし、ウィレムデフォーとのファーストコンタクトからもうあからさまにうろたえてるし、「あれ、あの人も殺してたの?」が出てくるしで変な感じはしてた。ATMが「猫食べたい」みたいなこと言い出したあたりでおやおや?と思い、ちっさい銃でパトカーが爆発したあたりで確信。よく考えると名前を使い分けたりしてたのも怪しかったな。「殺してたの?」どころか、「本当にいたの?」まで疑わないといけないことになってしまったな。

神経質で自意識も過剰、ハードドラッグ常用者とくればいろいろ揃ってたな。プライドが高く、それゆえに周囲が気になって仕方ないから、ちょっと線を超えてしまったのか。「チェーンソーを持った男と半狂乱の女」っていう構図のビデオを観てるシーンが事前にあったしね。そこに自己投影してるだけかもしれない。ウィレムデフォーも存在しない人間なのかも。関係ないけどこの人いつの出演作観てもシワッシワだよね。

殺しの有無はともかく、パトリック(と仲間もか)の店員さんに対する横柄さとか、ナチュラルに女性蔑視的なことを言ったりとかの方が怖い。あとうるさい場所で、聞こえるか聞こえないかギリギリくらいの声でめちゃくちゃ暴言吐くとか。こういう描写の方に嫌悪感を抱いてしまった。神経質で脆いがゆえに、自分より下とみなした相手には超強くいけるみたいな。ホームレスだけはマジで殺してたみたいなこともあり得るわけだからね。そういった意味では、殺しが現実かどうかがパトリックの本質的な問題とは無関係であるという結末は面白かったかも。パトリックも友達も全然仕事してないように見えたんだけど、それでステータスの比べ合いだけしてるってなんなのこいつらって思ったもん。

ビジネスのために真実がねじ曲げられてしまう、っていう解釈もあるみたいですが、僕はハナからこいつは何にもしてない(か、実際より妄想で殺ってる数の方が盛られてて多い)と思いました。
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