翔

ウォーターワールドの翔のレビュー・感想・評価

ウォーターワールド(1995年製作の映画)
2.5
全体通して50点ってことでは無く、前半80点後半20点という意味での点数。

まずなにが素晴らしいかというと世界観。世紀末モノと言えば、見渡す限りの荒野に生存者達が作ったコロニーや集落が点在している。探すものは水、オアシス。オアシスを求めるギャング集団が殺戮や拷問など手段を問わずに暴れ回る。
この観念をひっくり返したのがこのウォーターワールド。題からも分かる通り、360度を水平線に囲まれた世界。金はあるし最低限の飲用水も作れる。しかし土は無い、陸上生物のヒトが生きるためには土が必要。地盤を作り作物を育てるためには土が必要なのである。
民衆も北斗の拳みたいな善か悪かの二択では無い、力があるか無いかの差はあれど価値観や判断基準はギャングとほぼ同じ。盗む、殺す。モブキャラからヒロインに至るまでが生き残る為に培った強かさや我儘さを備えている。ギャング達も可愛げがあり、完全なる悪として描かれているとは感じなかった。余談だが、BGMもどこかで聴いたことがある。ユニバーサル!って感じで好き。

さて、ここまでが80点ゾーン

ここからは20点ゾーン
主人公がミュータントという設定。死に設定とまでは言わない、彼が水生生物という理由で輝くシーンはいくつもある。ただ余りにもバックグラウンドが不透明すぎて辛い。この世界のミュータントとはそもそも何なのか、主人公以外にはミュータントが登場しないので比較も無けりゃ解明も無い。もうちょっとどうにかして欲しかった。

次に余りにも淡白すぎるクライマックス。折角凝った世界観なのに王道すぎるストーリー展開で少々勿体無い。いかんせんシンプルになりがちになってしまうのは世紀末アクションの性ではあるけれども少し残念、情け容赦ない描写を散りばめているのに肝心な所で甘々なので消化不良感が否めないというのも一つ。

間違いなく外れないだろうというイメージを持っての鑑賞だったのでハードルが高くなりすぎてしまったのかもしれない、面白いのは確かなのに惜しい箇所が多すぎる印象を受けた作品。
翔