このレビューはネタバレを含みます
2025-48
同じ夜のロサンゼルス、ニューヨーク、パリ、ローマ、ヘルシンキのタクシー運転手と乗客の間に起こった小さな物語を描くオムニバス映画。
偶然出会ったタクシー運転手と乗客の、一夜の短い物語。運転手も乗客も色々な事情を抱えており、会話から彼らの過去を垣間見る。活力に溢れる人、楽しそうな人、悲しそうな人、不幸な人……。世の中には色んな人がいて、色んな事情があって、良い時と悪い時を繰り返して生きている。人生の楽しさ、可笑しさ、悲しさを5つの物語で描いている。
〈ニューヨーク〉
映画のキャスティング担当をしている女性客を乗せる。
運転手(ウィノナ・ライダー)マジで一生タバコ吸ってる(笑)絶対車内も本人もえげつないタバコ臭してる。「映画スターになれるのよ」と唆されても断って、自分で決めた道を真っ直ぐ突き進む彼女の生き方がとてもカッコイイ。
〈ロサンゼルス〉
なかなかタクシーが捕まらず困っていた男。やっと止まってくれたタクシーの運転手は外国人で言葉が通じず土地勘もなし、運転も下手ときた。男はお金は払うが自分で運転すると言い、運転手と共に家まで車を走らせる。
ヘルムートとヨーヨーの微笑ましい平和な時間に癒される。しかし普通の洋画20個分くらいのF**kを聞いた(笑)damn連呼するの面白い。
〈パリ〉
クソ客に辟易する運転手。次に乗せたのは盲目の女性。強いメンタルと、盲目ゆえの鋭い感覚を持つ彼女に運転手は興味を持つ。
女優さんがあまりに長い間ほぼ白の白目なので目は演技とは思えないレベルだが実際は盲目ではないようで、その技量と耐久性に驚く。
〈ローマ〉
一人語りし続ける運転手となぜか死にかけの乗客。
一生一人で喋る運転手(笑)乗客がいないときから一人で喋ってる。
〈ヘルシンキ〉
3人の男性客を乗せる。へべれけの男の今日起こった不幸話を聞かされるが、運転手が自分の過去の不幸話をする。
アキ・カウリスマキ監督の映画が好きなので、最後のヘルシンキで彼の映画の常連俳優が登場するのが嬉しかったし、個人的に一番の見所だった。カウリスマキ映画にばかり出演している彼らを他の映画で見れるのは貴重。マッティ・ペロンパーが出てるのが一番嬉しい。カリ・ヴァーナネンも本作でもいい味を出している。(へべれけで寝てる乗客以外全員カウリスマキ映画常連)
キャスティングした人、カウリスマキ映画のファンなんじゃ?(笑)
クビになった彼、遅刻の連続でクビになるのは自業自得なんだけど、家に帰れないのか雪で真っ白な寒々とした道路に座り込む彼の姿があまりにも悲壮でツラい……(笑)彼の身に降りかかった数々の不幸と運転手の不幸は比べるもんじゃないと思うんだよね。他人の不幸を乗り越えた経験談から勇気を貰うことはあってもね。
運転手の話に友人2人が泣いてるなか、夢を見てるのか寝ながらニコニコの彼(笑)でも目覚めたらあの落ち込みよう。見ていて可哀想すぎる。
全部好きだけど1個目と5個目が特に好き。