風の旅人

ナイト・オン・ザ・プラネットの風の旅人のレビュー・感想・評価

3.5
「おれの肌の色は?」
「そんな事 関心ないわ」
「肌の色って違うんだぜ」
「緑でも人参のようにブルーでも、色の違いなんか無意味よ。
私は色を感じる」

ニューヨーク、ロサンゼルス、パリ、ローマ、ヘルシンキ。
同時刻の五つの都市で繰り広げられるオムニバス会話劇。
タクシーの運転手と客という偶然出会った人間同士の淡い関係から、しだいにその関係性を超えて、それぞれの人生観が浮かび上がる。
コーキー(ウィノナ・ライダー)は映画スターよりも車の整備士になりたいという価値観を示し、ヘルムート(アーミン・ミューラー=スタール)は「金は必要だが、重要ではない」という格言を残す。
そして盲目の乗客(ベアトリス・ダル)は、視覚(知覚)ではなく感覚で見ることを説く。
ジーノ(ロベルト・ベニーニ)が「15年ローマでタクシーを流してて、同じ客を2度乗せた事はありません」と言うように、たぶんもう二度と会うことがなく、決して向かい合うことがないというのはある意味気楽で、ジーノやミカ(マッティ・ペロンパー)のように普段話せないことも話せるのかもしれない。
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