深獣九

HOUSE ハウスの深獣九のネタバレレビュー・内容・結末

HOUSE ハウス(1977年製作の映画)
3.5

このレビューはネタバレを含みます

うわー、すごいもん観てしまったな。

言わずとしれた大林宣彦監督のデビュー作。
明るく楽しい、ポップなホラーコメディ。
怖くないお化け屋敷。

内容は、化け物屋敷で少女たちが犠牲になるという、単純明快なもの。
主演は池上季実子。当時は18歳で、すでに匂い立つような色気を放つ。サブヒロインは大場久美子。めちゃめちゃかわいい。まじツボ。当時は13歳で、この映画をきっかけにブレイク。『コメットさん』の主役の座を射止めた。このふたりを観るだけでも価値がある。池上は胸をさらすシーンもあり、お宝と言わざるを得ない。
そのほかでは、南田洋子や鰐淵晴子の怪演も見どころだ。


大林監督は起用からして超異例であり(Wikipedia参照)、東宝のカラーを意に介さずとにかく意欲的な作品を作ろうとしたようだ。全編に渡って、当時のできる映像技樹やアイデアをすべて放り込んでいるように思える。
例を上げるならば

・組硝子越しの歪んだ映像
・ストップモーション
・カメラに寄ってふさいだあとの早着替え
・多重露光
・モノクロに指し色
・書き割背景に合成
・コマ撮り

大林監督やりたい放題である😂

お祭りというか学園祭のような、粗野だが若者らしいパワーとエネルギーを感じる(39歳だけど)。だから、ガチャガチャしてても最後まで楽しく見ていられる。
劇伴もジャズやフォークを織りまぜて、さながらフェスのよう。
70年代アメリカドラマ風であり、漫画的カット割りとセリフ、キャラ設定なども取り入れていると見た。
とにかく実験的で、若き天才クリエイターの意欲を感じる。気持ち良い。

40年以上前の作品なので、現代っ子には馴染めないかもしれないが、ハマるティーンも少なからずいるであろう。昨今は昭和がブームらしいし(写ルンですや純喫茶が人気)。
学園祭のお化け屋敷だと思えば、きっと楽しめるに違いない。

エンディングがこれまた秀逸で、狂ってる😆😆😆
簡単に説明すると、父親の再婚相手の江間涼子が娘のご機嫌を取ろうと、件の屋敷をサプライズで訪ねる。屋敷手前の狭い道の真ん中には車が停まっており、道路を塞いでいるのだが、気にも止めず縦列駐車。微笑みながら車を捨て屋敷に向かって歩き出す。相手の車では、大量のバナナがハンドルを握ってるというのにだ(伝わらない)。
江間は屋敷までの道中微笑みを絶やさず、朝焼けの中ステップを踏みながら歩いてゆく。首元にはシルクの白いスカーフ。ずっと風になびいている。このスカーフ、登場から垂れ下がることなくずっとなびいている。ずっと風が吹いている。西川貴教かな?
演じる鰐淵晴子も、お顔のパーツがすべてパッチリしすぎてるせいもあり、控えめに言って異様である。
バックに流れるフォークソングも異様。
このシーン、対抗できるのは『悪魔のいけにえ』のレザーフェイスダンスだけであろう。本編にまったく関係ないシーンなだけに、思わぬ手土産をいただいた気分だ。


その他にも、見どころは満載だ。

友だちの行方不明やポルターガイスト現象にもまったく動じない能天気ガールズ。
少しはおかしいと思いなさいよ。
やっと気づいたと思ったら、またポジティブ脳に。だめだこりゃ😂😂😂

オシャレ、ファンタ、メロディ、カンフー、ガリ、スウィート、マック。昭和的なあだ名に懐かしさがこみ上げる。あだ名はそれぞれのバッグに記名してあり、親切設計。

ゴダイゴや三浦友和、檀ふみなどカメオ出演(当時は友情出演という)も楽しい。まさかの大林監督ご本人も😆


というわけで、また長くなってしまった。反省😅
でも、それだけ満足度の高い作品ということ。アマプラ解除駆け込みがきっかけだったのだが、とても得した気分であった。
深獣九

深獣九