ごまだんご

パリ、テキサスのごまだんごのレビュー・感想・評価

パリ、テキサス(1984年製作の映画)
4.5
物語よりも映像と音楽、俳優の魅力で魅せるその圧倒的な力。これぞ映画の醍醐味だ。
本当に凄い映画だった。まさにロード・ムービーの頂点。様々な点で多くの驚きがあった。1人の男が喪失感を乗り越えていく姿。長年会っていなかった息子と心を通わせる描写が美しい。並んで歩く帰り道、トランシーバーでのやり取り。演技はとても自然で、演じているようには見えなかった。本当の親子のようだ。
妻との再会。感動的な音楽が流れる訳でもなく、お互いを引き寄せる訳でもない。2人が鏡越しに心を通わせるシーンは間違いなく映画史に残る最高の場面。
映像がどれも印象的。中でも車から見える景色を狭い視点で映すドライブシーンは最高。子供の頃、お父さんが運転する車の後部座席から眺めた景色を思い出す。
古い映画なのにとても新鮮に感じられた。普通の映画には見られないような珍しいカットが多い。今作の撮影は後の映画に多大なる影響を与えたのではないだろうかと思う。良いインスピレーションを得られる映画だった。家のテレビでずっと流しておきたい。
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