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パリ、テキサスのmanamiのレビュー・感想・評価

パリ、テキサス(1984年製作の映画)
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ヴィムヴェンダース作品鑑賞10作目。
4年間も行方知れず音信不通だったトラヴィスが突如として見つかったことから始まる、家族の物語。兄弟、夫婦、父と子、母と子、それぞれの想いはまだらに混ざり合い、「家族」とひとくくりにすることができない複雑さが浮かび上がってくる。
トラヴィスの弟ウォルトは、彼が「黙りん坊」だった間も、その後の不気味オジサン期間も、兄をけして見捨てず、最大限の援助をする。ウォルトの妻アンも基本的には義兄に親切だ。
なにしろこの二人は4年もの間、トラヴィスの一人息子ハンターを我が子同然に育ててきたというほどの善人。もうすぐ8歳になるハンターの、天使のような良い子っぷりを見れば、弟夫婦がどれだけ愛情を注いできたのかは明らかだ。
この作品はロードムービーの傑作として評価されてるらしいから、一般的な醍醐味は後半にあるのだろうけど、私は前半の方が好き。彼ら3人の生活にトラヴィスが加わり、ハンターが「二人のパパ」を彼なりに受け入れるあたりまで。
終盤はトラヴィスもジェーンも自分の辛さばかり主張していて、正直気持ち悪い。まあ、実際そういう人もいるんだろうし、そういう人たちどうし勝手にやってればと思うけど、それなら子どもは巻き込まないでほしい。ハンターのパパママは、彼らじゃない。本当に彼のことを想っている人たちのところへ返してあげてと願わずにいられない、後味の悪いラストだわ。

3(1713)
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