このレビューはネタバレを含みます
巨匠ヴィム・ヴェンダースの代表作とも言えるロードムービー。
パルム・ドールも納得のシネマトグラフィー、劇伴、脚本、演出でした。
まずなんと言っても映像!
序盤の青空をバックにした美しいショットとテキサスの広大な地形を写したショット。
中盤のロスの景色とトラビスとハンター親子の情景。
そして終盤のボックス内でのシーン。
それぞれにベストショットがあり、+ライ・クーダーのアコースティックギターとキャスト陣の顔の演技が相まって心に残るものとなっていました。
特に終盤のボックス内のマジックミラーを活かしてトラビスとジェーンの顔を重ねた演出は天才だと思った。
脚本も巧みで、まず記憶喪失のトラビスと何も知らない観客の状況を重ねて、これはどんな映画なんだろうと考えさせる。
そこから弟夫婦との再会、息子との生活、そして妻との再会を経て、再びトラビスは冒頭と同様またどこかに旅に出る……最初に帰結しながらも全員がしっかり成長している着地が上手かった。
やはりヴェンダースは細かい人物描写が巧みだと思う。