Marian

パリ、テキサスのMarianのレビュー・感想・評価

パリ、テキサス(1984年製作の映画)
4.2
U-NEXTにて鑑賞。
『PERFECT DAYS』のヴィム・ヴェンダース監督の代表作ということもあり、鑑賞前からハードルを上げまくって臨んだ本作。そのハードルを普通に超えてくる見事な作品だった。
まさしく"映像が紡ぐ物語"。序盤は観客が多少戸惑うような展開が用意されているが、物語が進んでいくにつれ徐々にトラヴィスの過去が明らかになっていく...本作の魅力はそのストーリーだけでなく、哀愁を帯びたストーリーと印象的な映像の見事な掛け算にある。序盤のアメリカ西部の大自然のシーン、ウォルトの家でのシーン、トラヴィスとハンターのシーン、鏡越しのシーンなどなど、本作の物語の鍵を握るシーンは全て計算し尽くされた完璧な映像で構成されている。私自身も鑑賞途中にこの映像作品の虜になり、エンディングに向けて本作で最も美しいシークエンスが展開されていく...圧倒的な体験であった。
本作のサウンドトラックも非常に印象的。テキサスというより、ケンタッキーやテネシーといったアメリカ南部の内陸部で聴かれてそうなハードめなカントリー調の音楽が本作の美しい映像を包み込んでおり、本作を超一流の映像作品へと押し上げることに成功している。
素晴らしい映画体験だった。
Marian

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