吉

楽聖ショパンの吉のネタバレレビュー・内容・結末

楽聖ショパン(1945年製作の映画)
3.0

このレビューはネタバレを含みます

ショパンという実在した音楽家を題材にしたエンターテイメントであり、伝記映画ではないという前提のもと鑑賞しました。サンドが悪者扱いであり、ショパンが祖国を忘れた薄情者かのように描かれます。最終的に演奏旅行に出ましたが教授の説得によるものという見方ができてしまい、この作品だけを取り上げてショパンのすべてと思ってほしくない。これは強く主張したいです。

ショパンの生涯については別の書物なり映画なりが史実を語ってくれます。それでも、人の一生というものはある角度から見ただけで語れるようなものではありません。
この映画では、これもショパンのある一面(かもしれない
)ということ、当時のムードとたくさんのショパンの曲を楽しむことに主眼を置くのがいいと思います。

だからといって駄作などではなく、名優が繰り広げるショパンの世界はとても素晴らしい。誰もが知っている名曲がたくさん流れます。サロンのシーンも華やかです。ドレスだけでもいつまでも見ていられます。当時の雰囲気を感じるにはとてもいい作品と思います。
ショパンを演じるコーネルワイルドも彼の苦しみや葛藤をよく伝えてくれます。ポールムニ演じる教授もとても人間味にあふれ、チャーミングです。リスト様は常に男前でいらっしゃいます(笑)。

教授の言葉が心に響きます。
「良識と誇りを失った者が才能を持っていても無駄だ
身勝手になって孤立したら獣と同じだ」
これはショパンがどうとか関係なく、生きる道を示す言葉だと思います。
吉