ペコ

ツバルのペコのレビュー・感想・評価

ツバル(1999年製作の映画)
4.0
唯一無二の世界観。言葉では言い表せない魅力がある。
荒野に佇む屋内プール場。そこで働く盲目の老人カール。その息子アントン。おんぼろなこの建物を取り壊そうと企む兄グレーゴル。どうにかこの建物が存続するよう、検査にやって来た調査員を騙そうと、アントンは仲間たちと必死に頑張る。壁の傷を絵のように見たてて誤魔化したり、ハイテクな機械のフリをしたり…皆健気でとても可愛い♡
この親子の関係はおそらく東西ドイツのメタファーなのだろうけど、まぁそんなことは置いといて、とにかくアントンとこのプールにやって来た女の子エヴァの恋模様に釘付けになる。
女の子の下着をくんくん嗅ぐアントン。(お前ぇ…)
そして、それを笑うエヴァ。(小悪魔め!)
出てくるのは皆一風変わった人物ばかり。爺ちゃん婆ちゃんが多め。もうわけ分かんない。とても楽しい。
画面は基本モノトーン。シーンごとに色調が変化する。台詞はほとんどなし。まるでサイレント映画。作品のテイストは『デリカテッセン』に通じるものがある。
あと、エヴァが水の中に潜るシーンはとても綺麗。ここが何処なのか。夢か現か。いつの間にか私もこのヘンテコな建物に夢中です。
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