一人旅

ゴモラの一人旅のレビュー・感想・評価

ゴモラ(2008年製作の映画)
4.0
第61回カンヌ国際映画祭グランプリ。
マッテオ・ガローネ監督作。

ナポリに拠点を置く実在の犯罪組織の日常を描いたサスペンス。

イタリアの鬼才:マッテオ・ガローネが、ナポリ出身の作家:ロベルト・サビアーノによる2008年発表のノンフィクション「死都ゴモラ」を基に、イタリア・ナポリに拠点を置く実在の犯罪組織“カモッラ”の実態を徹底したリアリズムのもと暴き出した群像サスペンスとなっています。

強盗や窃盗を繰り返すうちに組織に狙われていく二人の若者
親が経営する雑貨店の手伝いをしていたが、やがて組織の一員となった少年
産業廃棄物を違法に処分する会社で働く青年
一流の仕立て屋ながら、中国人が経営する縫製工場に身売りする男
息子が組織を裏切ったことで、一転して身に危険が迫る母親と愛人の男
等、カモッラの一員及び周囲の人々の危険を孕んだ日常を群像劇として描き出したサスペンスとなっていて、多くの登場人物が暮らす巨大な団地がカモッラの牙城として描かれています。

ナポリを拠点に暗躍するカモッラの非情な実態を、組織のメンバー&組織と間接的に関わる者&組織に反抗・対立する者&組織に巻き込まれていく者の視点から多角的に暴いていく群像サスペンスで、淡々としたドキュメンタリータッチの作風ながらも、瞬発的な暴力&殺害シーンが鮮烈な印象の力作となっています。
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