イチロヲ

汚れなき悪戯のイチロヲのレビュー・感想・評価

汚れなき悪戯(1955年製作の映画)
3.5
修道院で養われている孤児の少年が、母親との再会を待望するうちに、キリスト像との意思疎通を始めてしまう。19世紀前半のスペインを舞台にして、信仰の在り方を説いている、ヒューマン・ドラマ。

スペインにてキリスト教が迫害されていた時代の物語。惨めな境遇に置かれている少年がイエス様の教示を受けるという、製作当初はキリスト教礼讃映画の位置付け。しかし今現在では、信仰の表と裏を考えさせられる作品へと変容している。

本作の居心地の悪さは、神父たちによる「神のご意思の元での子育て」に集約されている。神父たちは、宗教上、都合のよい環境を整えることで、聖人君子を育て上げようとする。これを「善きこと」としているため、何ともモヤモヤさせられる。

一応のところ、筆者は無神論者の立ち位置なのだが、決して信奉者を邪険にしているわけではない。神様に縋ることにより、生き甲斐を見いだしている人間がいることも事実。信じる・信じないは個人の自由。ただ、それだけのこと。
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