マツモトタクシー

キネマの天地のマツモトタクシーのレビュー・感想・評価

キネマの天地(1986年製作の映画)
4.0
暗黒迷画座 第176回 1本目


松竹大船撮影所50周年記念作品
山田洋次監督
脚本 井上ひさし、山田太一、山田洋次、朝間義隆


浅草の帝国館(映画館)で売り子をしている小春(有森也美)
旅役者だった病気がちな父(渥美清)と二人暮らし
ある時、松竹の監督の目にとまり大部屋女優として就職する

戦前の無声映画からトーキーに変わる時代
助監督の島田(中井貴一)との淡い恋心や当時の撮影風景を通して小春の役者としての成長を描いて行く






以下ネタバレ



松竹の蒲田撮影所の所歌であり象徴だった「蒲田行進曲」をライバル会社の東映出身の深作欣二監督が撮影し映画も大ヒットしたことに野村芳太郎プロデューサーは忸怩たる思いがあった
松竹の人間で古き善き「松竹蒲田撮影所」の様子を撮影したいということで映画化

記念作品なのでセットを横浜に広大な土地を借りて建てたとか今はマンション群になっているようです

この頃「男はつらいよ」は盆暮れと年2本公開されていたが1986年の夏はこの作品の為に見送られた
その為「男はつらいよ」ファミリー総出演
吉岡秀隆さんは役名も満男のまま😁


役名は少し変えているが当時の松竹の所長や監督達(小津安次郎、斎藤寅次郎)がモデル
主役の小春は田中絹代さんがモデルだとか

劇中で次回作の主演の女優(松坂慶子)と演出家が駆け落ちして消えるのだがこれは実際の出来事(岡田嘉子、杉本良吉)を元にされており当時はかなり衝撃的な事件として扱われたとか
後に2人はソ連に亡命杉本さんはスパイ容疑をかけられ処刑される

山田監督はこの出来事に関心があったのか「男はつらいよ寅次郎夕焼け小焼け」で岡田さんを起用して宇野重吉さんとかつての恋人として自身の半生を想い描くような役をやってもらっている

そしてこの作品でチャンスを得た小春は
スター女優になっていく
実際にも藤谷美和子さんが降板した為に有森也美さんが起用されたそうで新人賞を獲得して月9などでスターになっていったのは映画とシンクロしていて劇的

劇中の「浮草」は実際の小津監督の作品
で御自身でリメイクされています🎬

当時の有名俳優達がカメオ出演で沢山参加
個人的には山城新伍さんが懐かしい😁