こたつむり

スター・ウォーズ 特別篇のこたつむりのレビュー・感想・評価

スター・ウォーズ 特別篇(1997年製作の映画)
3.6
現代における娯楽映画のビッグバン。

お恥ずかしい話ですが。
最後まで観たのは今回が初めてです。子供の頃に触れる機会もあったのですが、物語の展開が速くて付いていけず、楽しめなかった記憶しか残っていません。うん。本当に恥ずかしい話ですな。穴があったら入りたい気分であります。

だから、お陰様で。
新鮮な気持ちで鑑賞することが出来たのですが…なんと。どの場面も既視感だらけなのですな。これは、とても凄い話です。製作年代を考えたら、本作が他の作品に影響を及ぼしている…という結果を、言葉ではなく作品自体で実感できるのですからね。

特に登場人物の造形、配置は見事でした。
古典を参考にしながらも(C-3POとR2D2のコンビの原型は有名ですね)、それを上手に消化し、新しい形の“娯楽としての王道”を生みだしているのですね。だから、40年の時を経ても古く感じないのです。というか、姫様の髪型は21世紀の今でも斬新ですよ。パンの形をした髪形ですからね。とても美味しそうです。

そして、本作で一番重要なのが。
良く言えば“隙間”、悪く言えば“粗”があることだと思います。三部作の構想があったからなのか、帝国と反乱軍の位置付けやフォースについてなど、劇中で全てを説明しきれていないのですが、それが良いのです。説明していないからこそ、其処に奥行きが生まれるのです。

確かに背景を細かく設定することも重要です。
しかし、あくまでもそれはバックグラウンド。物語の表層に出す必要は無いのです。そして、表層では見えないからこそ奥行きを感じ、観客は想像力を託すことが出来るのです。本作の場合、この想像力を巧みに喚起させることが出来たから、歴史的な名作と評されたのだと思います。

そして、歴史的な意義で言えば。
岩肌から小石を転がる様すらも古典を踏襲していると言えるほどに、王道の展開が繰り広げられるので、他の作品でも本作の“エキス”を受け継ぐことができるわけですね。つまり、本作は古典から現代へと繋がる娯楽作品の道標のひとつ。それは様式美であり、ひとつの文化なのですな。

というわけで。
今更ながらに鑑賞しましたが、十二分に堪能いたしましたぞ。エピソード5が楽しみです。ふふ。

To be continued…→→→『スター・ウォーズ/帝国の逆襲』
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