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村八分のmhのレビュー・感想・評価

村八分(1953年製作の映画)
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静岡県上野村村八分事件が題材。
村八分にいたる前に、村長選挙の不正選挙があってこれがなかなかにえぐい。
1930年代は日本でも(立憲政友会と立憲民政党の)二大政党制でそのとき培われた不正選挙のノウハウが戦後になって復活したのではないかと思われる。
女学生の投書にはじまり、無知蒙昧の村人たちによる村八分。味方のはずの学校の先生が、絶妙に距離置いてるのが面白い。
休んでんだからもっと心配せえよ。
ただし、このあたりは意図した演出ではなかったっぽかった。
「われわれ組合でも意思統一を……」みたいなセリフもあって、日教組も絡めてあった。
村では女生徒にアカとのうわさが立ったとのことだけど、のちに左翼系団体の婦人民主クラブで活躍するとのことなので、当たらずも遠からずだったんじゃないだろうか。
らーだかあーだかのコーラスで盛り上げて物語を締めるんだけどプロレタリアートっぽくて、独立プロ系の社会問題ムービーの王道を行っている感じが、世相を表してて実にいいね。
村八分は人権侵害事件で法務省も動く事案なのとか知らなかったので勉強になった。
脚本新藤兼人で、撮影宮島義勇。音楽は伊福部昭とかなり豪華メンバーで、そのあたりもそれぞれ楽しめる。
面白かった。
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