このレビューはネタバレを含みます
DVの末に姉を殺した父親を憎しみ呪うサンフンが、出所した父を痛めつける。自分も同じような暴力をふるってしまっている矛盾に自分の血を呪うも、父が自殺を図り倒れた時にはその血を輸血し助けてしまう。血が比喩的にも直接的にも二人をもう一度つなげる。
そこから少しずつ人生の再生に向かっていくけど、自分の粗暴な暴力が招いた因果に巻き込まれる。
再生へのきっかけをくれた女子高生ヨニ、だけどヨニの過程を壊したのは若きサンフン。逃れられない暴力にサンフン自身は結局飲み込まれてしまうけど、その暗い人生の中で行なってきたことが、父親を救って、ヨニや相棒の社長にも次の人生のきっかけを与える。
一方で、ヨニの弟がかつてのサンフンのように暴力の中に落ちていく姿と、ヨニが対峙したまま静かに終わる。
因果応報の地獄の中で、暗いところと明るいところがまだらにあって、ハッピーエンドともバッドエンドとも言えない終わり方が、余韻を残して良い。
あと取り立て屋の社長が良い人すぎて良い。渡辺健みたい。