kouza

ロード・オブ・ザ・リング/王の帰還のkouzaのレビュー・感想・評価

5.0
劇場公開時に劇場で観て、トリロジーセットを買った当時にDVDで観て、おそらく、多分15年ぶりくらいにまともに全編観ました。
それだけ放置してたのは、長くて、集中力を必要とする映画だから。

観てるこっちが「え…あんな遠いところまで捨てに行かないといけないの…?」という絶望に苛まれ、アル中とも薬中とも言えない、絶ちたくても絶てない誘惑に何度も翻弄されて、死ぬ思いで、灼熱の滅びの山の火口に辿り着くけど、すぐには捨てられない…これで最後だと思うとやめられないあの心理。
本当に本当に焦ったく、長い映画です…。

鑑賞時間があっという間に感じる映画の方が、面白い映画であることは間違いないけど、しかし。この映画だけに関しては、長いことに意味のある、長く感じさせることに意味のある映画のような気がする。

ファンタジーという位置付けにすると、拍子抜けする人が多いような気がします。
ファンタジーにしては、かなり地味です。
魔法で空を飛んだり、人を固まらせるようなことは一切しないし、魅力のひとつもない不細工な敵が相手だし、なによりも主人公が弱々しすぎて頼りない…。
普通よりもかなり地味な主人公の、鋼のように強い意志と、最上級の責任感を持って使命を全うする背中を追う、ドキュメンタリーのような「歴史巨篇」というのがジャンルとしてはぴったりのような気がします笑

そして、その主人公を信じて、姿の見えない彼をただひたすらと信じて、命を燃やして闘う仲間たち…こんな素晴らしい絆があるのか。。
ぼくも、もしフロドがスマホやSNSで、「黒門前なう」とツイートしてくれたら、あの絶望的な状況でも、彼のために戦ったかもしれない…。けど、彼が生きてるか死んでるかも分からない状況で、必死でフロドを信じて闘うアラゴルン、レゴラス、ギムリ、メリー、ピピン。そしてそれを支え続けるガンダルフ。
もう涙しかない。。

でも一番の功労者は絶対にサムだなあ。。
泣ける、泣ける…ラスト30分くらいはずっと泣いていたような気がする…。

困難と誘惑から命を削って闘いながら、ただひたすらに長い旅路を歩く地味な主人公と、遠く見えない彼を支えながら、闘い続ける仲間達の信念と信じる心が、15年ぶりに観ても、胸を熱くさせてくれました。

自分の知らないところで、今まさに誰かが闘っていることを思い出させられました。
kouza

kouza