秀ポン

スーパーチューズデー 正義を売った日の秀ポンのレビュー・感想・評価

3.9
『ミケランジェロプロジェクト』や『僕を育ててくれたテンダーバー』など、ジョージクルーニーが監督する映画ってつまんないイメージだったけど、これはかなり面白かった。
ジョージ君やるじゃん。

『アジャストメント』や『ロングショット』など、映画で描かれる、イメージ戦略合戦としての選挙戦が大好き。その上であくまで恋愛ものに重心の乗ってる上の2作と違って、これは選挙戦に終始しているので大満足。

何色のネクタイを付けると印象が良くなるとか、手の振り方がどうとか、そういうしょうもない上っ面の部分にチーム全体で知力を尽くすのを見るのが好きなんだけど、一方でこれは、お互いの陣営のリソースを削り合う1番ゴミみたいな選挙戦をやっていて、それはそれですごい面白かった。

主人公は初手で、裏の取れていない相手の悪評を流す方法を取る。たとえそれが事実無根で相手に対するクリティカルな攻撃になり得なくても、相手が「噂は事実無根である」とその攻撃を捌くのにリソースを使うことになるので無駄ではない。
選挙対策チームの人員をリソースとして捉えて、お互いリソースが限られた状態で戦っているっていう視点が、考えてみればそうかって感じですごい面白い。

敵のリソースを削る戦略は相手も使ってきて、主人公はそれによって窮地に追い込まれる。
こっちに寝返らせられたら最高。ダメでも敵の元から排除できれば次善。ライアンがバーに来た時点で相手は勝ってた。
この戦略、かなりエグくて面白かった。

主人公の、彼女を傷つけることも厭わない復讐とか、それを恐れて命を断つ彼女とか、悲しいんだけど、結局この時点での主人公は門前払いされちゃってて何も出来てないってのが救えなさすぎた。

キャストもマジでどんばまりしていた。
ジョージクルーニーの政治家感がヤバい。スター性と、いい男すぎて逆に怪しいっていう感じがすげー合ってる。そのうち本当に出馬するんじゃないかってくらいに合ってる。
結構蚊帳の外だったにも関わらず様になってるフィリップシーモアホフマンも流石だった。厳しい先生感?
忠誠心を史上とする彼の信条は立派だけど、このクソみたいな状況には則していなかった。
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