ちろる

女の園のちろるのレビュー・感想・評価

女の園(1954年製作の映画)
3.8
50年代、全寮制の女学園で繰り広げる、同じような環境と年頃の女子たちの芳しい生活を垣間みれるかと思ったけど、そうは問屋が卸さない。
だって木下恵介監督ですもの。
私もずっと女子校育ちゆえにとても分かるのだけど、閉鎖されたお嬢様学校には少なからず蔓延る封建主義。
民主主義だとか関係なしに、学校が法律全てのようになってしまう中で疲弊していく魂が少なからずある。
ましてやこの舞台になっているのは50年代な訳で、私が想像に及ぶ以上の縛りの中で、しかも寮生活とは見ていて苦しくなるものだ。
生きていけば自我は生まれる、それはどんな環境であろうと、誰もがおなじように、、
こうしたい!こうあるべきではないですか?
そんな問いかけにすら耳を傾けてくれない学校の中に身を置くことの苦しさは、自由をある程度享受してきた現代の私たちにとっては信じられないことなのだけど、なによりも高峰秀子が演じた勉強をしたい!だとか恋愛をしたいという純粋な、真っ直ぐな思いすら簡単に踏みにじられるこの世界が何よりも苦しい。
校則の自由を勝ち取るお嬢様学生たちの運動が半はどうでもよく感じるほどに、、
この対比は意図的かどうかはわからないけれど、閉鎖され抑圧された女学生での対比はお陰でわかりやすく、高峰秀子vs高峰三枝子のシーンたちが苦しく胸に迫る作品となっていた。
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