やほほいパーチー

愛しきソナのやほほいパーチーのネタバレレビュー・内容・結末

愛しきソナ(2009年製作の映画)
-

このレビューはネタバレを含みます

約20年前〜の映像だから今はどうなってるか分からないけれど、思っていたほど酷いた街並みではないんだよな。
たしかに国民教育にはびっくりするけれど、ソナさんは大学の英文科に入っていて、入る頃には筆記体ですらすらと手紙が書けるぐらいには英語教育も行われていて…ショーケースの日本のお菓子が買えなくても、ソフトクリームは祖父母らが帰国時しか強請れなくても大学には進学できる。自分の想像の北朝鮮とはちょっと違っていた。ピアノもあって、従兄弟のお兄ちゃんはとても上手に演奏する。生活の中に文化がある。
でも北朝鮮の(初等教育の)学校に行くのに、ソナさんだけがおそらく祖父母から送られてきたであろうランドセルを背負っていて(他のみんなはそれぞれ異なるリュックサック)、切なくなった。

「北朝鮮の停電を日本に帰っても忘れないでください」
北朝鮮のおうちでヨンヒ監督がバースデーのお祝いをされてる時に、電気を消して蝋燭に火をつける場面があって、「停電か?」「北朝鮮の停電にすっかり慣れたな」みたいな軽口を叩いたり、たびたび停電する様子をソナさんが「停電してもかっこいいお家!」と言ったり、北朝鮮の生活の不便さを自嘲気味に、しかし前向きに捉えてるのも印象的だった。

ヨンヒ監督とソナさんが大劇場の前で、演劇は好き?って話す場面も、ソナさんのお願いでカメラを回さないで交わされた会話の内容も切ない。見たこともない聞いたこともない演劇の演目や脚本家の名前を出す叔母が「ごめんバカみたいだね」って言うのに対して、ソナさんは「もっと聞きたい。想像で楽しむから」と返すのも、ヨンヒ監督が分身のように想ってるソナさんと分断された2カ国が象徴的で切なくなった。