オトマイム

希望の樹のオトマイムのレビュー・感想・評価

希望の樹(1976年製作の映画)
4.5
大地に耳をあて革命が近づく足音を遠くに感じても、彼らが愛を成就させるには時代が早すぎた。引き回しの刑に甘んじても泥を投げつけられてもその姿はどこまで高貴で、その魂をだれも汚すことはできない、そして魂は大地に根付き美しい花がなる希望の樹を育んだ。美しさはどこからくるのか。古い因習をはみ出した人間らしい感情の迸りから生まれるのか。

真っ赤なケシの花畑で崩れ折れて涙をこぼす馬、もうこの幻想的な冒頭から胸が押しつぶされそうになった。光とともに現れる少女/出征前日の頰へのキス/放り投げる靴/河原でドレスの裾をたくし上げる少女/列車ごっこをする男と村の子供たち/豪雨の中の処刑。馬、ヤギ、犬、多くのいきものと共にある生活があたりまえのように、同時にしみとおるように映像に刻まれる。

憎しみと惨殺の血がしみ込んだ地に生える草には毒があるから口にしてはいけない。ジョージアという国と民族の悲しい歴史。