子供に真剣に向き合おうとする大人が誰一人いない。
皆その場限り。誰も責任を負わない。
強いて言えば、最後の方に出てくる食べ物を内緒でくれてたコンビニの兄ちゃんだけ。
あの女子中学生もまだ未成年。
彼女の身なりや上品な雰囲気から、お金持ちの行くような学校に席がありそうだが、あの子もまた孤独だった。
その孤独に2人が共鳴し、ほんの一時だけ触れ合ったのかも知れない。
綱渡りのような4人の生活。
いつ綻んでもおかしくない。
やはり妹が‥。
まだ若かった私はこの映画に怒りが沸いた。
誰にもぶつけられない怒りだったからだ。
しかし、こんなにヒリヒリする作品を作ったあとも、多作な監督。
個人的には、「歩いても歩いても」「海よりもまだ深く」「海街diary」辺りの、特に何か起こる訳でもなく、日常を淡々と捉えている作品が好みです。
料理をああでもないこうでもないと幸せそうに作ったり、皆で食事をしながらお喋りしたり‥。
そう思うのは、それが人間の幸福の正体だからかも知れない。
「海よりも〜」の団地の公園に夜に皆で居たシーンが印象的で忘れられない。
嵐なんてしょっちゅうくるものだし、何故、元家族があんな所に居たのかももう覚えてないけど。
ただ、万引きで遂に世界的監督になっちゃったから、次作もこんなに観る側の怒や楽、色んな感情を引き出すような映画を作ることが、果たして可能なんだろうか?
だとしたらやはり素晴らしいなと思う。