トールキン

誰も知らないのトールキンのレビュー・感想・評価

誰も知らない(2004年製作の映画)
3.7
この作品自体は昔から知っていたけど内容は知らなくてさらに是枝監督作品とも知らなかった。是枝監督作品を続けて見ようとDVDレンタルしようと思ったけどいつの間にか配信されてたので、ラッキーと思って見てみたけど軽い気持ちで見たのをめちゃくちゃ後悔してしまう。まだ見たことない方には個人的にはハッキリ言ってオススメ出来ない。

これまで見た胸くそ映画の中でもあまり類を見ないくらいのもの凄い作品だった。もはや怒りを通り越して只々虚しさだけが残る。
この作品を良い映画として評価していいものか。ただ、子どもたちがかわいそう、とかやり切れない、とか考えさせられる、心に響く、とかそれらの言葉だけではまとめれないくらいとにかく最初から最後までずっと悲痛な思いで見てた。
断続的に途切れ途切れな描写で淡々と展開していくけど、気が付けば140分間ずっと見入ってしまっていた。当時13歳くらいの柳楽優弥さんの素朴かつ繊細な演技、そして表情や立ち振る舞いや存在感そのものが凄すぎてどんなに悲痛でも画面から目を背けられない。子どもたちが健気で可愛げがあって愛おしいからこそその分見ていて辛い思いも倍増して込み上げてくる。

周りの大人に助けを求めることは出来なかったのだろうか。周りの大人も異変に気付けなかったのだろうか、いや気付いていたけど所詮は他人事、見て見ぬふり。親身になってくれる人もいたけれどそこまで本気で手を差し伸べてはくれない。
現代社会でも少なからず存在するこのような問題。子どもたちだけでどうやって生きていけというのか。人間は、大人は、親は何て身勝手なのか。怒りや虚しさや絶望感が殴り書きのように次々と込み上げてくる。想像以上に心をえぐられる作品でした。
トールキン

トールキン