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誰も知らないのkiritoのレビュー・感想・評価

誰も知らない(2004年製作の映画)
4.0
【震え】

悲しいことに、精子と卵子さえあれば一つの命は誕生する。
愛の中に、あるいは、悲劇の中に子供は産まれるが、子供の誕生とともに親は親となる『資格』を得るわけではない。

刹那的な快楽で子供が出来たとして、その責任を負うのは大人ではなく子供だということを私達は知る必要がある。

1988年の巣鴨子供置き去り事件をベースに是枝監督が15年の構想を経て作り上げた本作は、今一度生命の重さと親のあり方、そして人間のあり方について深く考えさせれる映画となっている。


誰も知らないとの題名通り、この事件あるいはこれに類似する事件が今も日本のどこかで起こっている可能性は0ではない。

ある母親と、4人の子供たち。
周りには1人しか紹介せず、3人の子供は認知されない。
そんな状況の中で長男は1人責任を負って家族の世話をしていく。

マニキュアやピアノ、鉢植え、電気…
それぞれの小物を効果的に用い意味を持たせる。
子供たちの演技とは思えない様子や表情ににただ胸が締め付けられる。
一つ一つの描写から目が離せない。


どうしたらこんな悲劇を繰り返さないことができるのだろう。
考えてみても答えは浮かばない。。。

『ゆきに飛行機を見せてやりたいんだ』

2017.9.7
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