このレビューはネタバレを含みます
もとになった事件は母親によるネグレクトの結果、長男が妹を殺害してしまうという惨劇。
明確な悪人が存在しないのが是枝監督の作風だが、実際の事件を是枝風に味付けしたせいでなんとも奇妙なストーリーになってしまっている。
中盤できょうだいを救おうとするセーラー服の少女が登場し、面倒を見たり援交(のようなこと)をして金を作ったりする。
母親の代わりの“母性の体現者”のようなキャラクターだ。
だが、序盤では小学生の長男が会いに行ける距離に状況を把握している父親2人が存在することが示されている。なぜか彼らは途中から一切出てこない。
モデルになった事件では長男は友人たちの圧力に負けて妹の殺害に加わる。
映画では不幸な事故の結果とされ、長男の非行はゲーセンでの浪費や菓子類やゲームを購入して生活費を使い込む程度に留まっている。
妹の死後がいかにもお涙頂戴ボーイミーツガールといった風で、いまいちメッセージが伝わってこない。