イチロヲ

赤ちゃんよ永遠に SFロボットベイビーポリスのイチロヲのレビュー・感想・評価

3.5
人口増加にともなう過密問題に直面している夫妻が、禁止されている新生児の子育てを強行する。自らの意思で異端分子となった夫妻の顛末を描いている、ディストピアSF。筆者が子供時代にVHS版を鑑賞して、軽くトラウマになっている作品。

物語の舞台は、人口増加の悪影響が色濃く出ている近未来。出産禁止令により「種の存続」という目標を絶たれた夫妻が、勇気を振り絞ってヒューマニズムに基づいた行動を起こすのだが、それが反社会的行為とみなされてしまう。

スモッグまみれの屋外描写と全体主義により束縛された雰囲気作りが素晴らしい。混沌と退廃が痛烈に描かれており、「笑えるけど笑えない」という、イギリスらしいブラック・ユーモアが含有されている。

主人公夫妻の役柄を演じているのは、オリヴァー・リードとジェラルディン・チャップリン(チャールズ・チャップリンの娘)。旧文明の廃墟に潜みながら、子育てを実践させていく展開が面白い。そして、赤子の代替となる赤ちゃん人形が完全にホラー。
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