kirito

ミルクのkiritoのレビュー・感想・評価

ミルク(2008年製作の映画)
3.8
【プロフェッショナル 仕事の流儀 Part5】

1970年代 サンフランシスコ
同性愛は犯罪とされていた時代。
数々の同性愛者がその手に鎖の手錠をかけられた。

ところが、この時代に切り込んだ、ある男がいた。


同性愛者の権利の為に戦った政治家
ハーヴィー・ミルク
職業 政治家


後に「20世紀の英雄100人」(タイム誌)に選ばれた彼は、果たしてどのようにこの『時代』に立ち向かったのか。

絶対に無理だと言われたこの時代を変えることができたのはなぜか?
驚愕の真実に今、迫る。


(イントロ)
♫ 僕らは位置について、横一列でスタート切った。つまづいてるあいつのことみて本当はしめしめと思ってた。(略)ずっと探してた理想の自分ってもうちょっとかっこよかったけど、僕ら歩いてきた日々と道のりを本当は自分っていうらしい。(略)あと一歩だけ前に進もう ♫ kokua@progress


ある街角で立候補を宣言する中年の男がそこにいた。
ミルク氏である。

彼は40歳のとき、自分が何も残していないことに憤りを感じていた。

彼の活動は一店のカメラ屋さんから始まった。
ゲイを歓迎する店だったが、世界から人がおとずれた。
同性愛者に差別なく接する店は栄え、逆の店は衰退した。
この事実からいかに同性愛者が多かったのかを物語る。

しかし、魔の手は彼らに迫った。
無残に殺される同性愛者と捕まらない犯罪者。
何度も警察や人に襲われる仲間を見て彼はついに立ち上がったのである。


彼には一つ大事にしている流儀がある。
ポーン『クローゼットに隠れるのではなく戦うのだ』


彼の元に人が集まったのは人柄か。それともある信念を持っていた人間だったからか。
とにかく彼の行動は多くの人間の「心」を動かした。

そして彼らに対する弾圧は、団結をより強固なものとした。

ースタジオー
茂木『当時はやっぱり同性愛者に対する風当たりは強かったんですか?』

ミルク『当時は我々は敵視されていた。その弾圧は恐ろしいものだったよ。』


茂木『なぜ、ここまでして、権利を訴えたのですか。』

ミルク『僕の今まで付き合ってきた人たちの4人中3人は自殺未遂をした。これは単なる重要な問題なのではなく、命を賭けた問題なんだよ。』

……………………………………………

その風当たりは強く、彼が政治家となるためには、実に7年の歳月を要した。

そして、彼が政治家となって数ヶ月。
彼は教職にある同性愛者をその性的思考を理由に解雇できるとする「条例6」の破棄に尽力し、否決された。


しかし、
1978年11月27日。今日のその時。
彼は凶弾に倒れた。
弾丸の数、実に4発。
ミルクは1発目で倒れこみ、そこに続けて3発が撃たれた。
その弾に込められた思いはなんだったのか。
犯人は同僚の議員だった・・・


彼の追悼に集まった人数は3万人以上。
そのパレードは長蛇の列となった。
その人数が彼の功績の大きさを物語る。


アメリカの独立宣言にはこう書かれている。
「全ての人間は平等であり、奪うことのできない権利を与えられている」
人は誰でも平等に扱われるべきだとする一文である。


そして自由の女神の台座にはこう刻まれる。
「私の基にこさせなさい。自由を渇望する、疲れた貧しい人々を。」

自由の女神が今日もアメリカ全土を見守る。

※なお、この物語、番組内容はフィクションである。
(一応、ベースとなった部分のみしか取り上げていないので、詳細は是非映画で確認を)
………………………………………………

魂が震えるといった方が的確だろう。
この映画はまた一つ大きな歴史的事実を私に教えてくれた。
つくづく世の中には知るべきことが沢山あることを痛感させられるのである。


最後泣いた~(;´Д`)
ティッシュ、テッシュ必須!!


主演は、ショーン・ペン。
彼はこの難しい役を演じきった。
実際の映像を交えながらの映画だけど、本人とよく似てらっしゃるのね。


しかし、本当に同性愛者を対象とした映画にハズレがなくてビビる。
しかもだいたい実話。


同性愛は確かに難しい問題だし、同性愛者というだけで偏見が生じる。
でも、その前に一人の人間であり、平等に扱われるべきなのは当然のことだと思う。

未だに日本でも、同性愛者に対しての法的保護は保障されていないけど、それが変わる日もそう遠くはないはずだ。


「希望がなければ“私たち”は諦めてしまう。もちろん希望だけでは生きられない。でも希望がなければ人生は生きる価値などない。だから君や、あなたや、あなたたちが希望を与えなくては。」

2015.12.14
kirito

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