数年に一度、思い出したように見返してしまう。それにしても、黒沢清は「同じ映画」を撮り続けている。役所広司を菅田将暉に、ユースケ・サンタマリアを窪田正孝に、柄本明を荒川良々に入れ替えても、作品の本質は何ひとつ変わらない。
中心にいる人物は常に「己に正直になり、解放される」ことを望んでいて(運命づけられていて)、その先にあるのが地獄であれ天国であれ、いずれにせよこの現世(退屈でくだらないリアル)には、もはや未練がないという点では、それらは等価として描かれている。
ユースケ・サンタマリアも永作博美も、黒沢清作品とは相性良い役者だと思ったが、再共演は『モダンラブ』までないのか。役所広司のコメディ芝居は真面目すぎて、あまり上手くいっていない。「たけしときよし」映画のダンカンはいつでも最高。
人間を描くことには一切興味がなく、物語を語ることには照れている。だからこそ、話もキャラクターもめちゃくちゃで、本作のように捏ち上げた場面を継ぎ合わせた予測不可能な「ジャンルの闇鍋」的作品のほうが、黒沢清には100合っている。良く言えば「映画」にしか関心がない作家。
「黒沢清の作品を五本選べ」と問われれば、うっかりこの作品を入れてしまうぐらいは偏愛している。エンドロールが流れるなかの「永作博美が振り返る」画が、格別に良い。