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うる星やつら2 ビューティフル・ドリーマーのamのレビュー・感想・評価

4.4
ループものの金字塔として今なお語り草にされているのも頷ける。
全体的にはあくまで『うる星』お馴染みのドタバタ喜劇でありながら、不条理な無限ループという不気味さと、時折ゾッとするような演出と、メタ視点で捉えた時の更なる不気味さが巧みに仕掛けられていて、その全てに唸らされた。
静かすぎる夜の街を横切っていくチンドン屋、喫茶店の会話の重すぎる空気、夜の校舎のねじ曲がった空間。
「腹減ったなー!」「10時のおやつまで待てよ!」「何言ってんのよ、アンタ達お昼ご飯食べてきたばかりじゃない!」という噛み合わない時間感覚。
「なまじ客観的な時間やら空間やら考えるさかい、ややこしいことになるんちゃいまっか?」から畳み掛けてくる問いは哲学の域。

あまりにも押井色が強いこの作品について高橋留美子は「こんなのうる星やつらじゃない」と否定的だったらしいが、親しみのあるうる星キャラ達が繰り広げるからこそ生まれるあの独特な不穏さに意味がある。

サクラ先生がノーヘルでバイクをかっ飛ばしてそのままアパートの階段を駆け上がるシーンが最っっ高。

そしてあたるの
「好きな人を好きでいるために、その人から自由でいたいんだ」
という名台詞。
(そんなの詭弁だという誹りを重々承知の上で、)それこそが真理だ、よう言ったあたる!と感服してしまう、あたる気質の私。
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