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エレファントのamのネタバレレビュー・内容・結末

エレファント(2003年製作の映画)
3.9

このレビューはネタバレを含みます

ジャケ写を見る機会がありすぎて本編まで観た気になってたやつをようやくちゃんと鑑賞。(ジャケットのブロンドBoyが犯人なのかと思ってたごめん)

実際の事件が題材とはいえパッケージの雰囲気的になんだかんだ青春エモっぽい味付けがされてんじゃないのと思ってたけど全然そんな事なかった。むしろ徹底して何の味付けもされていない。フラットな目線で切り取られた、普通の学生のありふれた日常風景の数々。これから惨劇が起こるなんて夢にも思わないような弛緩した空気は、私がのんべんだらりと過ごしている日常の空気と何ら変わりなく、だからこそ、そこにあまりにも容易く"殺戮"が持ち込まれることがすごく恐ろしかった。たった二人の少年の出来心で簡単に実行されてしまう惨劇。

正義感もフィジカルも強そうな黒人青年があと一歩のところであっけなく撃たれてしまった瞬間のショックがすごい。実話ベースとは知りながらもどこかで救世主による都合の良い展開を求めていた心が一瞬で粉砕されてしまった。

最後に犯人に見つかったのが超イケてるリア充カップルなのも絶望。犯人の少年とは真逆の、最も妬まれているであろうキラキラ人種。あえて殺害シーンまで映さなかったのはどう考えても助かるはずがないからなのか。
そこであっけなく終幕してしまい心の拠り所を一切与えてくれないところもなんとも薄情で、本編81分という短さながら嫌な余韻がずっとずっと続いている。
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