フジタジュンコ

マンダレイのフジタジュンコのレビュー・感想・評価

マンダレイ(2005年製作の映画)
3.8
「ドッグヴィル」の続編だが、キャストが変更されているのと前作の設定をあまり引き継いでいないのでもうひとりの”グレース”の物語として見たほうがよさそうだ。そうじゃないとグレースがあまりにもアホの子すぎる。

アメリカの奴隷制度を通して自由意志のありかたを描いているが、テーマとしてわかりやすいぶん想定内の展開(もちろんラストは皮肉が効いていて素晴らしい)。グレースが黒人の名前を呼び間違うシーンにはゾクゾクした。こういうシーンのためにトリアーを見ていると言ってもいい。

「マンダレイ」のグレースはおぼこい無知な女性のように描かれながら、おのれの加虐心や差別心にも気づいていて、次なる「ワシントン」のグレースに期待したいところだが、たぶん一生作られることはないんだろうな……