イチロヲ

ヒッチハイクのイチロヲのレビュー・感想・評価

ヒッチハイク(1976年製作の映画)
4.0
キャンピングカーで長距離移動する夫婦が、善良なヒッチハイカーに変装した強盗殺人犯を乗せてしまう。危険なヒッチハイカーとの駆け引きを描いている、エロティック・スリラー。エンニオ・モリコーネが音楽を担当している。

セクシーな夫人役を演じているのは、「O嬢の物語」のコリンヌ・クレリー。お色気要素が随所に挿入されており、まるで彫刻のようなスレンダー・ボディを拝ませてくれる(撮影時には出産を経験しているはず)。

アルコール依存の狼藉者として登場する夫(フランコ・ネロ)が、ヒッチハイカーとの駆け引きを通して、「頭が切れる男」の顔を表出させていく。ドラマの進展に合わせて、印象に変化が生じていく感覚。ここに映画的魅力が詰まっている。

終局に入ると、ネタバレ厳禁のドンデン返しに突入。夫の人間的成長を推し進めるべく、必死に"あげまん"を演じる妻が、破滅型の人生へと落とされてしまう。深読みし過ぎだろうが、そんな「敗北の美学」を読み取ることができる。
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