工藤蘭丸

ブリットの工藤蘭丸のネタバレレビュー・内容・結末

ブリット(1968年製作の映画)
3.8

このレビューはネタバレを含みます

これは50年近く前の高校時代に名画座で観たような覚えがあるけど、WOWOWのマックイーン特集でやっていたので、久しぶりに観てみました。

映画史上に残るカーチェイスで有名な作品で、ハリウッド映画に本格的なカーチェイス・シーンが導入されたのは、本作が初めてだったようですね。10分ぐらいのシーンだったけど撮影には3週間を要し、バイクの転倒シーンなど、今では考えられないような危険なスタントも行っていました。最近の偽カーチェイスばかりを見慣れていると、あまりスピード感も感じられないかも知れないけど、撮影中の最高速度は時速110マイル(177km)以上にも達したようで、まさに玄人好みのリアルなカーチェイス・シーンだったかも知れませんね。

まあ、私は本作よりも先に、『フレンチ・コネクション』や『ザ・セブン・アップス』などを観ていたので、やはり初めに観た時はそれらと比べると大したことがないカーチェイスのように思えてしまいました。だけど、本作があったからこそ、それらの作品も生まれたわけだし、もし本作がなかったらスピルバーグの出世作となった『激突!』なども生まれずに、映画史が大きく変わっていたかも知れません。

本作は、カーチェイス以外にもリアルさを追及した作りになっていたようで、セットは使わずにすべてが本物を利用したロケで、手術のシーンなどでも本物の医者や看護婦が出演していたらしい。

最後の空港のシーンで、飛行機に乗っていた客がなぜピストルを持っているんだろうと突っ込みたくなったんだけど、調べてみたらアメリカでハイジャック防止のための手荷物検査が行われるようになったのは、本作が公開された1968年のこと。金属探知機が導入されたのは、本作の公開から1年後のことだったようです。

それから、私は昔これを観に行った時はジャクリーン・ビセットのファンで、カーチェイスよりもむしろそれが目当てで観に行ったものでした。本作ではマックイーンの恋人役で出番は少なかったけど、出演当時は23才ぐらいでしたかね。まだ無名だった頃の初々しさも感じられて、あらためて惚れ直しました。ごく普通の女性役だったけど、そういう女性も登場させることでリアルさを強調したかったのかも知れませんね。