安堵霊タラコフスキー

エレクトラの安堵霊タラコフスキーのレビュー・感想・評価

エレクトラ(1961年製作の映画)
4.9
1962年のカンヌで劇映画化賞(Best Cinematic Transposition)という謎の賞を与えられた作品だけど、なるほど鑑賞したらパルムドールとかじゃないにしろとにかく賞を与えたかったのかなと察せられるくらい力の込められたギリシャ悲劇の映画化だった。

根幹ともなる冒頭の描写が強烈だった故に途中で中弛みも少し覚えたものの、その冒頭に描写されたようなモノクロの映像美と類稀なる演出力は一貫しており、ベルイマンとパゾリーニとオーソン・ウェルズを混ぜ合わせたとも形容できるそれはまさに映画芸術の極致と呼べる代物で圧倒されっ放しだった。

しかしこんな名作が現状日本で鑑賞困難だったりデアデビルのスピンオフと混同されたりと憂き目に遭っているのは作品の内容以上に悲劇的と言えるかもしれない。