イチロヲ

悪魔のような女のイチロヲのレビュー・感想・評価

悪魔のような女(1955年製作の映画)
4.0
粗暴な夫の傍で不満足な夫婦生活を強いられている若妻が、夫の愛人と結託することにより、夫殺しの完全犯罪を達成させようとする。谷崎潤一郎がフェイバリットに挙げている、フランス産のクライム・ムービー。

被害者となる夫は、寄宿学校を統率している校長先生。修道院育ちの貞淑な若妻がヒロインとなり、夫の愛人でもある女教師に先導されるかたちで、夫殺害を決行させる。2人組の完全犯罪が成功するか否かを描いていく、典型的なサスペンス劇場。

中盤部からは、学校のプールに沈めたはずの死体が消失してしまい、どこかで本人が活動しているような状況に陥る。ヒロインがビビリ症なので、常にボロが出ている状態なのだが、それを逆手に取ったような、ミスリード狙いの作劇が展開される。

何よりも、犯罪に手を染めたヒロインの脆弱さ、儚さがマゾヒスティックに伝わってくるところが良い。監督夫人が演じているため、「如何にして妻を奇麗に写すか」という監督視点が垣間見えてくる。三編みのおさげを先っぽで縛るヘアスタイルもキュート。
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