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潮騒のotomのレビュー・感想・評価

潮騒(1972年製作の映画)
5.0
岡本喜八もびっくりな切りまくり鬼編集と、全てが予測不能な事故や災難の様でありつつも、原題然り劇中でも引用された『客観的偶然』って事で最初から最後まで綺麗に一本の線で繋がっている。所構わず爆音で『ロメオとジュリエット』を流すイヴ・モンタンで最初から嫌な予感しかしない訳だけれども、同じ線上に描かれた暴力と愛の顛末が滑らか過ぎて見事。8号の独房の過去から8号の更衣室の扉を叩くラストとか痺れるわ。モンタンの「俺もまだまだ捨てたもんじゃないな」の絶頂からの運命の悪戯で超悲愴。エロ可愛いキャサリン・ロスから謎のカンフー男まで人に歴史ありな感じがきっちり伺える作るとなっており、前衛風に見せながら設定もしっかり奥行きを感じさせる仕上がりとなっている。映像も全シーン美しくキマりまくってる。松崎しげるみたいなミシェル・コロンビエのテーマが我が家的にツボった。
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