施設に収容されている小人たちが、自己の尊厳を取り戻すべく、極めて小規模な反乱を巻き起こしていく。小人による革命的行為をミニマム劇のように描いている、ヒューマン・ドラマ。
本作に登場する小人たちは、年齢的には中年なのだが、子供のような声でキャーキャーと騒ぐため、彼らの行為が他愛のない児戯のように見えてしまう。おそらく意図的に仕組まれたものだろうが、あらゆる場面に深掘りの余地がある。
本作から受けるインパクトは、いわゆる「憧憬」というものに他ならない。意のままに操れる自由、意志を同じくする仲間、柔軟な人間関係など、社会に取り込まれた人間たちが喪失してしまいがちな情緒を、小人たちは生活の中で取り戻していく。
リーダー格(?)の小人がしきりに「Besteh!Besteh!」と叫んでいるが、これは「存在します」という意味。「ヒューマニズム(人間らしさ)」に関する提言を、説教臭くならないように表現している逸品。