かろ

フレンジーのかろのネタバレレビュー・内容・結末

フレンジー(1972年製作の映画)
4.8

このレビューはネタバレを含みます

かつては空軍にいつつ、粗暴な性格(時代的にこういう表現は無かったが、いわゆるPTSDでしょうか?)が理由で離婚・失職した主人公のキャラクターが際立つ。職を失い、明日の生活にも食事にも困るほどの貧乏、逆張りを好むヤフコメ民なら「冤罪を受ける側にも問題があったのでは?」などと言われかねない、とにかく従来的な魅力、たとえば社会的に模範的な市民であったり、あるいは社会的には不良でも、子供が好き、恋人に対しては真摯、というような二面性のあるタイプとは違う。真犯人に気づいた主人公が自身の判決を言い渡される法廷で「あいつを殺してやる!」と絶叫しているなんて、他で見たことがない(苦笑)ただ、目的を見つけた主人公がわざと刑務所の階段から落ち、病院内のワルと組んで脱獄を図る手際の良さは感心すらしてしまう。
彼が冤罪になったのは科学捜査が未発達な社会状況とそれを差し引いても容疑者ありきの偏見に満ちた警察捜査、そして真犯人の恐ろしい証拠隠滅手口、ということになるか。

モチーフだけで言えば「サイコ」の続編と言えるが、主人公が置かれる絶望的状況という点ではゲイリー・クーパーの「真昼の決闘」にも近い。主人公と警部が結びつくきっかけがそこまで強くないようにも感じたが、勢いの良さで最後まで観られてしまった作品。
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