むーしゅ

X-MEN:ファースト・ジェネレーションのむーしゅのレビュー・感想・評価

3.0
 映画版のX-MENはだいたい酷いという流れから見るのが恐怖になっていた作品。本作はOriginal trilogyと言われる旧3部作からリブート1作目。まぁ思ってた通りの出来でした。

 CIAエージェントのモイラは危険なミュータント集団「ヘルファイア・クラブ」の調査のため、オックスフォード大学でミュータントに関する研究をしているチャールズを訪れる。時を同じくしてユダヤ人のエリックは自信の親の仇シュミットがショウという名で「ヘルファイア・クラブ」のリーダーを務めていることを突き止める。ショウを追ううちに出会ったチャールズとエリックは、共に実はミュータントであることを知り、互いに協力をしあうことになるが・・・という話。旧3部作の主要キャラクターであるプロフェッサーXとマグニートーの出会いを描いた作品なわけで、スターウォーズ エピソード1的位置づけでもあります。ただし原作コミックのX-MENからは登場キャラクター含めかなり別物なのでその辺りは要注意。旧3部作を基に原作とは違う世界の前日談始めたよ、が正解。

 上記のように原作破壊をしているのでその辺り無視しておくと、とりあえず伏線の回収というか、旧3部作につなげることが出来るようなエピソードのちょい足し具合はすごいです。各キャラクターのトレードマークでもある、プロフェッサーX(チャールズ)の車椅子やマグニートー(エリック)のヘルメットなどそういったパーツの回収能力はすさまじく、そういった意味では脚本力があるなという印象。またストーリー自体も実在のキューバ危機などと絡めながら壮大に進んでいき、それなりに違和感なく進めていくので、アクション映画にありがちなありえない展開盛沢山という感じは無いです。ただ結局映画全体を当時(1962年)のように見せたかったのか、現在のように見えてもいいのかは最後まで謎でした。服の着こなし・衣装・髪型・演技他、一体どの時代に見せたいのか全く掴めず、少なくともキューバ危機と言ってくれないと60年代の話だとわかりません。まぁ本気で古めかしく作ってしまっては誰も振り向かないダサい映画になってしまうと思ったのでしょうが、だったら逆にもっと割り切ってくれた方がよかったかもしれません。

 またこの映画は伝えたいことってあったのでしょうか。MARVEL系ヒーロー達は背景に色々な風刺や内面の弱さなどが描かれていることは有名ですが、X-MENのテーマはもちろん人種差別。突然変異として生まれてしまった自分をどのように理解し、どのように生きる道を選ぶかという話であって究極プロフェッサーXもマグニートーも正義でも悪でもありません。その対立の始まりを描く最も良いチャンスであったはずなのに、なぜかブレブレの内容で商業色強し。伝えたいことはそっちのけで、この辻褄合わせすごいやろ、と言われているようなそんな気分。それならもうちょっと特殊効果やCGを入れてどんちゃん激しく戦う方向に走ればよかったのに、という印象です。

 演技面で言うとまぁ若い人が多いので、正直かなり微妙。マグニートー演じるMichael Fassbenderだけは天才的にかっこよかったですね。表情の作り方が非常にうまくて、次作以降も期待です。Jennifer Lawrenceは前作でミスティークを演じたRebecca Romijnが美しすぎて、それに比べると申し訳ないですがブスになったな、という感じでした。ちなみにこの中では結構ベテランなショウを演じるKevin Baconがマグニートーのコイン攻撃(?)に対してずっとプルプル震えているのも今時の映画とは思えない感じでしたが改善してほしいです。役者だけでどうこうできるものでもないですが。

 まぁでも本作はリブート1作目ということで、次作以降を作るための種まきでしかないので、その辺りは多めに見ておきましょう。旧3部作も1・3は中々酷い出来だったので。それよりは大きな改善はみられていましたが、作品としての本気は次作に持ち越しですね。ちなみにビーストの着ぐるみ感だけは何とかなりませんかね、ぜひ。
むーしゅ

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