バンバンビガロ

どん底のバンバンビガロのレビュー・感想・評価

どん底(1936年製作の映画)
2.0
『どん底』はゴーリキーの戯曲も好きだし黒澤明の映画版も好きなので、結構思い入れがあり、どうしてもそことの比較になってしまうところは否めないのだが、ジャン・ルノワールの脚色にはあまり納得ができない。
大きな変更点としては男爵が宿に落ちてくるまでの経緯を描いているところと最後にペーペルとナターシャが宿から旅立っていくところが足されているのだが、これははっきり言って余計な改変であると思う。男爵とペーペルの描写が足された分だけその他のキャラクターの描写が削られており人生のどん底に生きる人たちの群像劇という趣は消えて普通の映画によってしまっているし、抜け出そうとしても抜け出せずより深みにはまっていくようなどん底暮らしの人生の綾といったものは漂白されてしまっているように感じる。
結局原作に忠実に役者の力によって魅力を引き出した黒澤明の判断は正しかったと再確認することになった。
バンバンビガロ

バンバンビガロ