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ビー・バップ・ハイスクールのblacknessfallのレビュー・感想・評価

3.1
ビー・バップ・ハイスクール1作目。
最も有名でヒットしたヤンキー映画だよね。

20年ぶりぐらいかな、再見して思ったのは東映って80年代も十分狂ってたんだねってこと。
70年代に標榜した徹底した男目線と不良性感度、この2つ全開で撮ってることに驚かされた。

主演コンビのトオルとヒロシを始め出てくるヤンキー高校生達のキャラや風貌、行動、口調、もうそのまま70年代の実録ヤクザ映画に出ててもなんの違和感もない雰囲気とノリなんだよ。
学ランやボンタンとかは明らかにこの当時の不良のリアルを再現してるけど、全然80年代という感じがしない笑

原作のマンガは現代的な不良の醒めた感じや計算高さ、等身大のシケた日常を描いたから人気があったのに映画はそこを完全に排除してんだよね。

トオルとヒロシは自由気儘に遊びとケンカに明け暮れる気にいい不良コンビで2人に好感を持ちながらも非行から足を洗ってほしいと思ってるマンドナの今日子を軸に話が展開される。
この基本設定があまりに古くベタベタだよね、本宮ひろ志のマンガみたいで笑

反面、東映らしさがプラスに寄与してるところもある。
それはヤンキー高校生達の描写。
みんな普通にガンガン煙草を吸うし😃🚬、酒もガブガブ飲む🍺🍺
制服姿で居酒屋に入って派手にドンチャン騒ぎを繰り広げたりする。
酔いがピークに達し安来節を躍り狂うヤンキー達の姿はどう見ても昔のチンピラにしか見えないがサイコーに笑える😂
これ、現代性はないけど不良高校生の描写としては正しい。
気合いの入ったヤンキーはみんな喫煙してたし酒も飲んでた、ところ構わず。

ケンカのシーンも良かった。走行中の電車の中で鉄パイプで殴り合い、相手を車外に突き落とす。工務店の資材置場とおぼしき山の敷地で火を放つわ、シャベルカーでプレハブ小屋ごと破壊する。
これを仁義なき戦いばりのカメラワークで臨場感たっぷりに撮る。
みんな体張ってるよね。ショピングモールの屋根からトラックの荷台に飛び乗ったり、どぶ川で殴り合ったり。
もう不良少年のケンカの域をオーバードライブしてヤクザのカチコミ状態なんだよ笑

体を張ると言えばマンドナの今日子役の中山美穂も敵の不良に捕まって殴られ、髪の毛を残バラに切られる。
このシーン自体もなかなかハードなんだけど、顔にしっかり醜いアザのメイクほどこし、髪も本当に出来損ないのモンチッチ🐵みたいな痛々しいヘアスタイルにする。
当時、売り出し中のアイドルをここまでボロボロに見せるってけっこう異常なことだと思うんだよね。映画的には正解なんだけど有り得ない気がする。70年代に池玲子さんや杉本美樹さんとかの美人女優をぞんざいに扱いひでぇことを演らせてきた東映の血筋を強く感じた笑

原作を東映テイストに染め上げてベタなドラマとハイパーバイオレンスなアクションコメディーなった訳だけど、これが結果としておもしろい笑
でも、ヒットしたのが不思議なんだよね。
この時代はバブル期の入口。軽妙でおしゃれでクリスタルなものが持て囃されてた中で、これだけ泥臭いものが受入れられたのか不思議なんだよね。
そもそもヤンキーブーム自体がこの時代に起こったのもミスマッチなんだよね。潜在的な反動なのかな?バブル的な風潮に対する?
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