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ジャッキー・ブラウンのtakatoのレビュー・感想・評価

ジャッキー・ブラウン(1997年製作の映画)
4.1
 ある意味、タランティーノの異色作。何故なら割とスタンダードな作品だから。豪華キャストとか、ケイパー物の騙し合いといった要素はあるけど、それらはメインではない。では、何がポイントなのか?。それはダグラス・サークタッチの切ない中年の恋である!。

 正直サミュエルジャクソン、ロバート・デ・ニーロといった超一流の人たちがでてるのだが、みんなアホに見える。特にデニーロはなんでこんな役うけたの?ってくらい間が抜けているキャラである。かといって膝カックンの面白さを狙った感じでもなく、バイオレンスが凄まじいわけでも、騙し合いの妙が凄いというわけもない。故に見どころがないのか?、というとそうではない。それは何かというと、ロバート・フォスターとパム・グリアのしみじみ沁みる愛の道である。

 若者の恥ずかしげもない恋と違って、もはや人生の夕暮れに差し掛かっている二人の愛。好きだの、愛してるだの、といった陳腐で安直な言葉で解決できるにはあまりに二人は年を取り過ぎた。愛に性別や年齢など関係ないというような、傍観者の無責任なロマン主義などより遥かに切実で切ない愛がここにある。露骨な言葉や行動などでしか愛を説明することしかできないような下手くそな演出ではなく、しっかり役者の演技で魅せる演出をしているのがえらい。ラストのパムグリアの表情を追い続けるショットだけで、正直無駄に長い本作を見た甲斐があった。
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