ユースケ

ゴジラ FINAL WARSのユースケのネタバレレビュー・内容・結末

ゴジラ FINAL WARS(2004年製作の映画)
4.0

このレビューはネタバレを含みます

最高ゴジラ映画を作り出すためにアメリカ映画に何のコンプレックスもない新しい世代のクリエイターを探していた当時の株式会社東宝映画代表取締役社長であり本作のプロデューサーである富山省吾が監督に選んだのは、よりによってアメリカ映画へのコンプレックスの塊である北村龍平だった…

というわけで、【ゴジラ】シリーズの最終作と銘打たれた記念すべきゴジラ誕生50周年記念東宝映画作品であり【ゴジラ】シリーズ第28弾(ミレニアムシリーズ第6弾)である本作は、アクションと悪ふざけと【ゴジラ】シリーズへのオマージュが暴走した北村龍平節の効きまくった一本。「こんなのゴジラ映画じゃない」とか言う奴は北村龍平が監督の時点で察して下さい。

とりあえず、東宝スコープのロゴ、田中友幸・本多猪四郎・円谷英二に捧ぐのメッセージ、そして、【ゴジラ】シリーズ6作品出場の中尾彬と【ゴジラ】シリーズ12作品連続出場の上田耕一が乗る轟天号がゴジラを氷山に生き埋めにするアバンタイトルから殺る気満々。

ゴジラの圧倒的な強さを見せ付ける本編の怪獣プロレスはもちろん、カイル・クーパーによる50年分のゴジラの喧嘩を凝縮したオープニング・クレジット、韮沢靖によるガイガンや寺田克也によるモンスターXのデザイン、ガン=カタを操るミュータントによるカンフーアクションなど、復活した生頼範義先生の盛り盛りのポスター同様みどころ盛り沢山。

とにかく、X星人統制官を演じた北村一輝のハイテンションな顔芸は必見。
「ガイガーーーン!起動ーーー!」という雄叫びも、エメゴジをディスる「やっぱりマグロを食ってるようなのはダメだな」という捨てゼリフも、たまりません。

更に、宝田明、水野久美、佐原健二をはじめ、中尾彬、上田耕一、佐野史郎、谷原章介、篠原ともえ、松尾貴史、角田信朗、高杉亘、大塚ちひろ、長澤まさみなど、【ゴジラ】シリーズへのオマージュを感じさせるキャスティングに加え、ドン・フライ、船木誠勝、レイ・セフォー、ゲイリー・グッドリッジ、角田信朗(かぶり)など、気合の入った格闘家のキャスティングも要チェック。
北村龍平のファンとしては坂口拓、榊英雄、松本実の北村龍平組のキャスティングも見逃せません。【VERSUS】へのオマージュを感じずにはいられない坂口拓とドン・フライのステゴロにはグッときました。

玄田哲章のドン・フライ、「悪いな、エビは嫌いなんだ」とエビラ決めゼリフをかますケイン・コスギ、ラドンの衝撃波で帽子をピューと吹っ飛ばされる関西弁を操るアメリカ人が楽しめる吹替版での鑑賞がオススメ。鑑賞後にはダラダラと惰性で続いてきたゴジラ映画シリーズを完全に破壊した龍平監督に拍手を送りたくなる事でしょう。欲を言えば、お台場に現れたヘドラに「レインボーブリッジ封鎖できません!」と叫びながらヘドラに飲み込まれる青島刑事のシーンを実現して欲しかったです。

ハリウッド映画のパクリだと指摘される本作ですが、【マトリックス リローデッド】の弾丸を止めるシーンをパクったビームを止めるシーンが【スター・ウォーズ/フォースの覚醒】に影響を与えた事は認めざるを得ない歴史の事実である事を肝に銘じて下さい。

ちなみに、ラヴクラフティアンである佐野史郎の「古き者どもたちがやってくるぞ!」のセリフによってクトゥルフ神話に認定されました。