芦川いづみが可憐ゆえに『美しい庵主さん』という映画が成立するのだろう。本当の美人でないと坊主頭はなかなか似合わない。
ストーリーは興味深いが、映画として見るとあまり面白くはなかった。小林旭が尼僧の芦川いづみに恋をするという筋は面白いのだが、そのうち芦川いづみも小林旭に惹かれ、ある出来事があった後、思わず芦川いづみが小林旭に抱きついてしまう…という展開は微妙だった。
このシーンを見ながら、『黒水仙』のキャスリーン・バイロンを思い出した。なんとなくこの作品の製作陣は『黒水仙』を意識していたのではなかろうかと思ってしまった。
個人的には、小林旭が一方的に尼僧の芦川いづみに惚れ、芦川いづみがそれを諭して清らかに淑やかにかわす…という展開の方が面白かったと思う。