あ

ジャグラー/ニューヨーク25時のあのレビュー・感想・評価

4.8
盆と正月が...ならぬ「フレンチコネクション」と「ダーティハリー」となんなら「タクシードライバー」も一緒に来た感じのクソ面白映画でした。

英語バージョンしかないので、途中野口健みたいな元同僚のブチギレ尋問とかなんか殆ど何言ってるか分かりませんでしたが、不動産王に無茶苦茶な区画整理されて、白人の貧民街が黒人のスラムと化し、さらにはプエルトリコ移民も流れ込むというカオス状態の中で、黒人に憎悪を激らせるジャグラー(ソルティック)が復讐のため不動産王の娘を攫おうとしたところ、間違えて元刑事の娘を攫ってしまい、さらにはその娘に母の面影を見て欲情するという...なんともカオスな大枠さえ掴めていれば、あとはアクションを見ているだけで十分楽しめます。

以上の内容から分かる様に、DVD化なんてできるわけありませんね笑

しかし本当にアクションがかっこよく、序盤の道路を縦横無尽にクロスするカーチェイスや、ちょっとした殴り合いの切り返しまで、短時間の中に凄まじいアクションが緻密に組み込まれていました。特に、聖書のセールスの車をジャックしたものの、キャリアカーに激突してしまったボイドをソルティックがジャックした車のサイドミラーで捉えるところなんかは、「夜の人々」で、強盗の後に追ってくる警官をルームミラーで捉えたところみたいな疾走感がありました。そのあとリアウィンドウに指で血のすじをつけながら力無く倒れてくところにも省略の美学があってよかったです。

あとラストも何気によく、ソルティックが一方的に母性を求めたキャシーが、求めに応じずさっさと穴の上に登っていってしまったところの呆気なさに、まさに捨てられた男、さらには捨てられた街の有り様がよく出ていました。結局この映画は本質的に何も解決していないですからね。

要素が盛り沢山で、かなりこってり背脂系なはずなのに、あっさりとしたアクションが良い後味を生み出しているのがポイントかと思いました。また来店したいです。
あ