銀幕短評 (#279)
「マレーナ」
2000年、イタリア、アメリカ。 1時間 32分。
総合評価 37点。
イタリア人は 国民性として こんなにも軽薄な下卑た映画をおもしろがるのだな。 おんなの尻を追い回すというのは、なるほど こういうことをいうのか。わたしはまだ一度もしたことがないな。
と 中盤まで思う。途中でかならず眠くなる。しかしこれは男の子 レナートの成長のものがたりだ。
この映画の主題は 観ていてさっぱりわからないが、嫉妬(しっと、そねみ とねたみ)の恐さと 集団心理の不安定さが繰り返し顔を出す。容姿端麗なマレーナを賛美したり うらやんだりするうちに、みなの中で 何かの拍子に それが嫉妬や侮蔑に裏返る。
この点、わたしは嫉妬されることとは無縁なので 日々の暮らしが安心だ。また逆に、足るを知ることにも長じているので(あきらめが早いともいう)、人様をうらやむこともない。
最後の独白で 壮年のレナートはいう。
「“忘れないで”、という女は大勢いたが、みな忘れてしまった」
さすがは イタリア人ぽい。やっぱり 少々うらやむなあ。