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フォーチュン・クッキーのRのネタバレレビュー・内容・結末

フォーチュン・クッキー(2003年製作の映画)
4.1

このレビューはネタバレを含みます

自宅で。

2003年のアメリカの作品。

監督は「ヒーズ・オール・ザット」のマーク・ウォーターズ。

あらすじ

性格も見た目も正反対のテス(ジェイミー・リー・カーティス「ホーンテッド・マンション」)とその娘のアンナ(リンジー・ローハン「コーリング・クリスマス」)はある夜、家族で訪れた中華料理店で怪しげなフォーチュン・クッキーを食べてしまうと、翌朝お互いの体が入れ替わってしまう。テスは再婚、アンナは自分のバンドの大事なステージが控える中、無事2人は元の体に戻れるのか!?

ディズニー・プラスにて。

昨年観たNetflixのクリスマス映画「コーリング・クリスマス」で「え?いつのまにかこんなに老けたの!?」と大変驚いたリンジー・ローハンと昨年のアカデミーでも話題沸騰の「エブエブ」での怪演の記憶も新しいイケメンボインおばさんジェイミー・リー・カーティスのダブル主演の「入れ替わりもの」。

なんか、観る前からパッケージのポップな感じといい、面白そうな感じがプンプンしてたんだけど、予想は大当たり!!これはかなりご機嫌な傑作コメディでした。

お話はあらすじの通り、内容的には上記の通り、「入れ替わりものコメディ」となっている。「入れ替わりもの」と言えば言わずと知れた新海誠の「君の名は」をはじめ、結構たくさんあって、どうやら同じディズニー配給でも母娘入れ替わりという全く同じような内容(後で調べたら今作のリメイク元だった)の「フリーキー・フライデー」という作品があるみたいなんだけど、今作の主演の2人が演じる親子は本当に性格も見た目も正反対。

リンジー演じるアンナは成績もだいぶ落ちこぼれで不真面目(かといって不良というわけではない)、その代わりにかなりの音楽好きでギターの腕も確かなロック少女、反対にカーティス演じるお母さんのテスは真面目なカウンセラーで、自分の著書を発売できるくらい名高い博士でもある真面目で堅物、でも実は家族のことを1番大事に思っているお母さん。

この2人、入れ替わる前は思春期の親子関係よろしく、あーだこーだと反発し合っている。で、その結果ある夜にタイトルにもあるフォーチュンクッキーを食べてしまったことで「私たち、入れ替わってる〜!?」的なお馴染みの展開に。

ただ、それを演じるのがリンジーとカーティスだからなおのこと面白い!特にカーティスの自分がお母さんの体になってしまった時のリアクションが顔芸ありーの、それまでの堅物から一瞬でパンクな感じになるところがマジで面白い!

役柄が異なるだけでこの緩急、マジで女優だよな〜と観ていて惚れ惚れする。

で、そんな感じでお互い入れ替わったことをなんとかバレないように立ち回る感じになっていくんだけど、テスは急に「ご機嫌よう!」とか朗らかにスクールメイトに挨拶したり、授業で「ハムレット」のことに言及したりと優等生キャラに早変わりして周りを戸惑わせるのに対して、アンナはお母さんのキャッシュを使って服装も髪型も一気にパンキッシュファッションに身を包んで耳にピアスまでして(ただ、それもカーティスだからめっちゃクール!!)好き勝手やる中でテレビの著書インタビューに呼ばれちゃって、そこでピンチをチャンスに変えて、なんか今のご意見番タレントみたいなスタイルでオーディエンスを沸かせちゃうなど、それぞれのキャラクターをお互いの体で爆発させるコメディシークエンスがまた面白いんだけど、監督であるマーク・ウォーターズ、俺は過去作だと「スパイダーウィックの謎」くらいしか観たことないんだけど、なかなか巧みな手腕を持っているようで、入れ替わり前のテスとアンナそれぞれの人間関係の伏線を入れ替わり後の展開で巧みに昇華していく。

例えば、アンナにはハリー(ライアン・マルガリーニ「GO!フィギュア」)って弟がいて、いつも姉であるアンナをからかって姉弟喧嘩してる憎たらしい弟なんだけど、実はテス(中身はアンナ)が訪れた保護者面談で姉のことを密かに憧れており、なんだかんだ構ってほしい現れだったことが作文でわかって、それをハリーに伝えると「お姉ちゃんには言わないでよ!」とすっごいほっこりするシーンになったり、アンナのことを目の敵にしている担任のおっさんが、アンナ(中身はテス)が模範的解答をしたのに落第点をつけたことを不審に思い、授業後に担任を問い詰める中で実はテスが学生時代、ダンスパーティーに誘ったことを断られていた過去(で、その娘を逆恨み的に嫌がらせしていた)を暴かれてしまい、ギャフンと言わせるなど話的に一切中弛みさせずに次々と入れ込んでいて脚本の面白さと相まって普通に上手かった。

また、そこにアンナの片思いの先輩ジェイク(チャド・マイケル・マーレイ「ドント・サレンダー スナイパーズ・アイ」)がなんとアンナに入れ替わってるテスに惚れちゃって変な三角関係になっちゃうくだりもめっちゃ笑った!

で、その中で2人にはそれぞれ「再婚披露宴のリハーサル」と「バンドの大事なステージ」という勝負どころが控えてるわけなんだけど、このクライマックスが特に激熱!!

まずはバンドステージ!!元々リハーサルとダブルブッキングしちゃってて参加できないことになってたんだけど、そこにバンドメンバー(ギターの黒髪の子が可愛い!)がやってきて無理やり参加させられちゃって、もちろん中身はお母さんのアンナはギター演奏なんかできないもんだから、ステージが始まっても変な音を出すしかなくて大ピンチに陥るんだけど、そこに義父のライアン(マーク・ハーモン「チェイシング・リバティ」)の後押しもあり(ここのライアンがマジで理想のお父さんっぷりを発揮して、実に泣かせる)、駆けつけた中身はアンナのテスが演奏中のアンナのアンプコードを引き抜き、ステージ裏でギターソロを奏でるんだけど、そこのギタープレイがあの元々イカしてるカーティスがめっちゃテク効かせたギター捌きをしてて、マッジでめっちゃクールでカッコいい✨元々ギターできたのか、それともこのために練習したのかわかんないけど、マジで演奏姿も絵になってるし、ソロ終わりのフィニッシュもイカすしで、改めてジェイミー・リー・カーティスという女優、ここにあり!という感じでとにかく凄まじかった!!

で、そんなステージで親子の仲も復活し、それまで気まずい間柄だったアンナとライアンの仲も深まっているところに披露宴での乾杯シーン。ライアンとの再婚を優先したことでアンナや家族のことがおざなりになっていたことを反省し、このままだと再婚披露宴までに元の体に戻ることは叶わないかもしれないことを予期したテスはアンナに「再婚は延期しても構わない」と告げるんだけど、ライアンのもとに戻ったアンナは「ライアンと素晴らしい家族になれる」と改めてライアンを「父」と認め、祝福するクライマックスはとっても良いシーンだった。

初めは反発し合っていた2人も入れ替わりを通して、お互いの身の上や心境を知り、遂に母と娘としての「愛」を取り戻したことで無事に元の体に戻れた後は遂に披露宴。ステージを観て改めてアンナのことが好きになったジェイク(それはそれでどうなんだ笑??)とテスとアンナがキスをしながら踊る横でメロコアがバックで流れる中でロマンチックにキスをするシーンも非常に良かったし、こういう結婚式映画ラストにありがちなバンド演奏シーンではリードギターだったリンジーが巧みなギターテクと歌声を遂に披露して会場を沸かせるラストなど、マジでリンジーの株も最後に激上がりするのも素晴らしい!!

まぁ、でもやっぱ結果的にカーティスの方がめっちゃイカしてカッコいいけどな!!

そんな感じでどうやら今作きっかけでリンジー・ローハンが一躍人気になったことも窺い知れる秀逸なコメディとなっていて、マジでこれはなんとなく観たけどかなり…傑作と言える出来なのでは??リンジー好きもカーティス好きもオススメの一作です👍!!
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