Mark数たったの5人。"楽園を追われたアダムとイヴが作った町"だと言う伝説のあるバグダッド、「千夜一夜物語」の雰囲気を感じたけどアリババもアラジンも全く出てこない。

"砂漠の民"を牛耳ろうとした悪巧みを潰して、王女をゲットした直系王子活躍の話。

黒衣団の首領は誰か？王女の父を殺したのは誰か？軍政官、王女と2人の王子がガチャガチャするが、悪者は速攻で分かるし、結末も予定調和。
砂漠には不釣り合いなモーリン・オハラと言うだけの映画。

イギリス留学を終えてバグダッドに帰省した王女が、盗賊団の策略により父親が殺害されたことを知らされる。四面楚歌の状況に置かれた王女が犯人捜しを繰り広げる、アラブが舞台のアクション・アドベンチャー映画。

盗賊団の首領を捜すアレムラク族の王女（モーリン・オハラ）、殺害の濡れ衣を着せられてしまうジャジール国の王子（ポール・クリスチャン）、政治の腐敗に関与している総帥（ヴィンセント・プライス）。この3人が、それぞれの立場から揺動を仕掛けていく。

中盤部に入ると、盗賊団を必要悪とする、悪どい政治活動が浮き彫りになる。そして、主人公の王女と嫌疑を掛けられた王子が結託して、盗賊団の内部に潜入する。作戦遂行のドキドキ感が薄いけれども、首謀者へと接近していく過程はそれなりに面白い。

屋外ロケのカットとスクリーン・プロセスを使用した屋内カットが何度も入れ替わるので、時代性を汲み取りながら鑑賞するスタイルが楽しくなってくる。総天然色でアラビアン・ダンスを披露する、モーリン・オハラの美貌は言わずもがな。

軍政官（たぶんイギリス）が幅をきかせるバクダッドで、2つの部族の抗争と黒衣団なる盗賊の暴挙が描かれる。時代がいつ頃なのかよくわからないけど、おそらく19世紀あたりか。鉄砲とかで判断できたりするのかな？時代的にアラビアンナイト系ではないのが残念ではあるけれど、これはこれでそれなりに面白い。
主人公はイギリス留学帰りの現地部族の姫。気が強く好き勝手動いて判断ミスをしまくっても尚かっこいいヒロイン。その相手役たる敵部族の王子は変装名人の曲者。変装してもさほど欺かず、立場と人目を利用して彼を殺したい軍政官の前にどんどん現れる。そのうち王女まで変装するとますます面白く、物語をリードする王女。冒険映画なのに3曲も歌い踊る。
監督はチャールズ・ラモント。今となってはアボット、コステロ主演作品の監督という印象。テントを中からビリビリっと破くと、奥から盗賊が馬に乗って駆けて来るスクリーン・プロセスが面白い。美しいテクニカラー撮影はラッセル・メティ。
主演はモーリン・オハラでテクニカラーに輝く勝ち気な美女。エキゾチックさの欠片もなく、ドレス姿もいっそ清々しい美しさ。歌は吹替と思うけれど、3曲目ではロマに扮し踊っていて見どころになっている。
相手役のポール・クリスチャンとは「大いなる神秘」（ラング）の主演男優パウル・フープシュミットの事。当時はアメリカ進出中だったらしく「原子怪獣現わる」にも出ている。
軍政官はヴィンセント・プライスが始終片目をつぶって個性を出していた。もう一人の悪役ジョン・サットンも二枚目出身の割に憎々しい。