ハナカズキ

明日に向って撃て!のハナカズキのレビュー・感想・評価

明日に向って撃て!(1969年製作の映画)
4.6
アメリカンニューシネマはほとんど見たことがなかったので、映画の歴史の1ページを見てみるようなつもりで鑑賞しました。

長い原題も音楽も知っていましたが内容は全然知らず、こんなに淡々としたシンプルなストーリーなのかと途中まではちょっと拍子抜けするほどでした。

西部開拓時代を背景に主人公たちが強盗する、逃げる、警察が追う、簡単に言うとそれだけです。

強盗のシーンも、見どころとなるような派手な銃撃戦がある訳でもなく、「そう来たかー」と感嘆させられるようなトリックがある訳でもなく。

それでもこの映画が人々の印象に残るのは見せ方が素晴らしいこと、これに尽きると思います。
 
また、銀行強盗の映画のわりに使われている音楽が楽しげで平和的なものが多く、1960年代の映画ですが新しさを感じました。監督の手腕すごいな!と思ったら「スティング」の監督さんでした。

以下ネタバレではありませんが、ラストシーンのことについて書いています。未鑑賞の方はお気を付け下さい😊





やはりこの映画の一番のインパクトはラストシーン。淡々と進んでいた物語はすべてこのワンシーンのためだったのかと思います。

よく「死ぬ間際にこれまでの人生が走馬灯のように流れる」と言いますが、この映画の最初から最後まで、これらは主人公たちが人生の最期を迎えた時、走馬灯のように頭をよぎった映像だったのではないでしょうか。この二人にとって人生の良かった時、それを私たちも一緒に見ていたように感じました。

実際には一瞬だったとしても、当人たちにとって長く感じたその最期の一瞬。だからこそのあのラストシーン。それを一緒に体感したように思えました。

そう思って映画を振り返ると、あの自転車でのシーンが美しくはかなくて、人生最良の時間だったかのように感じ胸に迫ります。

ラストシーンの映像はあの“音”とともにこの先もずっと忘れることはない名シーンとして私の中に残ると思います。


以前BSを録画したものを鑑賞
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